大学での理転と理系科目の独学について

私は高校の文系から理転して理学部へ進学したため、数学、物理、化学の知識が全く不足していました。そんな状態で大学の難解な授業を受けても全くついていけません。完全に自業自得なのですが、とにかく何とかしなければいけません。

分からないまま授業を受けていてもストレスが溜まるだけでしたので、思い切って一年間休学し、理系科目を独学することにしました。独学に際して初めに行ったのが、ブルーバックスなど自然科学について一般読者向けに書かれた読み物を読むことです。まずは平易な言葉で科学に親しみ、おおよその概念をざっくり理解しようという作戦です。休学して作った時間を使って、少しずつ自分の中に理系の知識と考え方を蓄積しました。言わば外堀を埋めていく様なイメージでしょうか。例えばブルーバックス「水とはなにか」(上平恒[著])などは、生物の基礎となる「水」の物理化学的な性質をイメージする上でとても役に立ちました。

次に行ったのが、初学者に分かりやすく丁寧に書かれた教科書を読むことでした。理学部の知人から「すぐわかる線形代数」など石村園子先生の分かりやすい本を教えて貰い、徐々に数学の基本が理解できてきました。また大村平[著]「微積分のはなし」なども、図形を多用した分かりやすい教科書でした。

ところで私が数学学習に力を入れたのは、生物の理解には化学の知識が、化学の理解には物理の知識が、物理の理解には数学の知識がそれぞれ必要になることから、「まずは数学を学ぼう」と考えたためです。

数学の基礎がある程度できてきた段階で、物理と化学も徐々に理解できる様になってきたので復学することにしました。その後はさらに学びを広げるべく、岩波書店の物理入門シリーズ「物理のための数学」(和達三樹[著])を読みました。この本は多重積分や偏微分方程式など物理を学ぶための基礎となる数学の知識が分かりやすく解説されている素晴らしい本で、私は今もこの本を大切に保管しています。

生物学科へ復学した後は実習や卒業研究を何とかこなし、1年遅れで無事に理学部を卒業することができました。その後はさらに工学全般を学びたくなり工学部3年次に編入学したのですが、その辺りの話もまた別途書かせて頂ければと思います。

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