MASTERキートンに憧れて文系へ
私は子供の頃から電気や機械が好きで人生のほとんどを理系の世界で過ごしてきたのですが、ほんのいっときだけ文系に所属していた時期があります。
高校の文理選択のちょうどその時期、私は「MASTERキートン」という漫画に出会い、その知的でスリリングな世界観にハマり夢中になって読んでいました。ご存知のない方のために説明しますと、この漫画の主人公である平賀=キートン・太一は、
- 動物学者の父親とイギリス名門家の母親の間に生まれた日英ハーフ
- オックスフォード大学卒業のエリート
- 英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、スペイン語、ロシア語等々、多言語に堪能
- 元・英国特殊空挺部隊隊員であり、イランアメリカ大使館人質事件等の作戦で活躍
という輝かしい経歴を持ち、非常勤講師として大学で考古学を教える傍ら、ロイズ保険組合の調査員として危険な探偵業務に従事。見た目は柔弱そうだが、いざとなるとテロリストや犯罪組織相手にも熟練した戦闘力を発揮する(出典:Wikipedia、小学館)・・・と、優しくて知的、かつタフでハードボイルド、つまり途方もなく格好いいのです。
まだ世間知らずの子供だった私は、この漫画で描かれる世界各地の歴史と文化、過去から現在にかけての戦争、紛争、テロ、民族問題、裏社会を背景としたストーリーラインに惹きつけられ、また様々な困難を知識と経験を駆使して乗り越える主人公に大いに憧れて、「自分もオックスフォード大学で考古学を専攻するのだ!」と、短絡的に文系に進んでしまったのでした。ただこの選択をした遠因として、小学校から中学にかけて熱中した電子工作とアマチュア無線の限界を感じ、気持ちが冷めてしまっていた面もありました。
しかし元々考古学に興味があった訳でもないのでモチベーションは長続きせず・・・。徐々に元来の嗜好が復活し、高校3年になると「理系へ進みたい」と思う様になりました。文系コースでは理系科目として生物を学んで興味を持っていたため、大学は生物学が学べる地方国立大学の理学部へ進学しました。文系だったので三角関数の微分積分すら知らず、大学では理系科目の授業を受けるのが大変でした。この辺りのことは別の記事で書きたいと思います。
ちなみに、「MASTERキートン」の20年後の世界を描いた「MASTERキートン Reマスター」という続編単行本が2014年に発売されました。自分も購入して読んでみたのですが、主人公とその娘について描かれた話が印象的でした。20年の間に色々あったんだなと、何とも懐かしくも切ない気分になりました。