電子顕微鏡と元素分析
走査型電子顕微鏡(SEM)では、試料に電子を当てて試料からはじき出された電子(二次電子)を検出して画像を作ります。この時二次電子と共に発生する特性X線のエネルギーを測定することで試料の元素分析を行うのが電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)です。大学院時代、技官さんが張り付いて管理されているEPMAをちょくちょく研究で使わせて貰っていました。
特性X線のエネルギーを調べる装置には、分光結晶を使って特性X線の波長を調べる波長分散型X線分光器(WDS)と半導体検出器で特性X線のエネルギーを直接調べるエネルギー分散型X線分光器(EDS)があります。EPMAはWDSを備えていますが、WDSとEDSの両方を備えている場合もあります。WDSはエネルギー分解能が高いものの測定に時間がかかり、EDSは短時間で分析できるもののエネルギー分解能はWDSに劣ります。WDSとEDSは目的と状況に応じて使い分けられます。EPMAの空間分解能は1 μmほどですが、鉱物粒子断面の元素分布を調べることができる素晴らしい装置でした。