電子くらぶ
初めて電子工作の存在を知ったのは小学生の頃でした。元々工作が好きだったこともあり、電子部品をはんだづけして様々なものを作るこの新しい遊びにすぐに夢中になりました。
当時は主に嘉穂無線のエレキットという製品を購入して組み立てていました。嘉穂無線は「電子くらぶ」というエレキットのファンクラブを運営しており、入会すると同名の冊子「電子くらぶ」や新製品の半額購入クーポン券などが貰えました。電子くらぶという冊子にはビギナー向けからマニア向けまで様々な記事があったのですが、概ね子供でも楽しく読める様に可愛いイラストをふんだんに使って面白おかしく誌面が作られていました。子供でしたので回路図の意味は理解できなかったのですが、電子部品が配線された写真や実体配線図をワクワクしながら見ていた事を覚えています。
印象に残っているのは1988年の電子くらぶ134号で、香港の電気街を訪ねた異国情緒溢れる旅行記が掲載されていました。今は対岸の中国深圳市の方が電気街としては有名になりましたね。あとは市販のおもちゃを分解して仕組みを調べる連載も面白かった。秋葉原電気街を特集した号もありました。まだ秋葉原が純粋な電気街だった頃で、当時の写真を今の風景と比較すると隔世の感があります。
ただ、夢中になった電子工作も中学時代にはやめてしまいました。様々なキットを作り続けるうちに「こんなおもちゃを作って何になるのだろう?」と冷めてしまったことが原因です。実体配線図を見て作るだけの作業に飽きたのかもしれませんね。電子回路の理論を初めて学習したのはそれから10年ほど経ってからでした。その間は他分野を学ぶことになるのですが、回り道をしたことで知識や経験の幅が広がったので、今はこれで良かったのかなと思っています。
楽しかった電子くらぶも1991年の154号で廃刊となってしまいました。現在、以下にて電子くらぶ108号と154号が公式から公開されています。誌面を見ると、当時夢中になった電子工作の雰囲気が懐かしく思い出されます。
電子くらぶ108号(1984年)
https://www.elekit.co.jp/25th-anniversary/assets/img/treasure/vol108.pdf
電子くらぶ154号(1991年)
https://www.elekit.co.jp/25th-anniversary/assets/img/treasure/vol154.pdf