光学顕微鏡と電子顕微鏡

生物学科では微生物や細胞の観察に光学顕微鏡を使っていましたが、大学院ではnmサイズの構造を観察するために電子顕微鏡が必要になりました。顕微鏡で何かを観察するには観察したいものよりも短い波長の光を使う必要があります。生物の細胞はおよそ20 μm程度、可視光の波長はおよそ400~800 nm程度ですので、細胞くらいの大きさのものなら光学顕微鏡で充分観察できます。

一方、光学顕微鏡では識別できない微細構造の観察には電子顕微鏡が必要となります。電子は波の性質を持ち、その波長は電子の持つエネルギーが大きいほど短くなります。私が走査型電子顕微鏡(SEM)を使っていた時の加速電圧は20 kV程度であり、電子の波長は0.03 nmほどになります。実際のSEMの分解能は1 nm程度ですが、充填層実験で使用した非晶質鉱物の空隙構造(5~10 nm程度)を観察するには充分な解像度であり、研究を進める上で大変助かりました。

参考文献
中田宗隆「なっとくする機器分析」講談社(2007)

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